(※本館「Blast Burn!」の小説をご覧になっている方推奨です)
次の日も穏やかな秋晴れを迎えた。
「──それではこれより二次選考を行う」
キャプテンのウィンの声でそれは始まった。
「着順にリーフ、ホーン、ショウタ、ユウダイの四名が一次選考を突破した為、トーナメント形式で一対一のバトルとする。最初の組み合わせはくじ引きで決定し、勝った者同士が決定戦に進む。特別なルールは無い。何か質問はあるか?」
残った面々を見てみると、相性からして草ポケモンであるリーフに優位があるのは間違いないだろう。とりわけホーンは全員との相性が悪い。対処方法はあるのだろうか、とガーリィは不安になった。しかし異論が出ない以上、相性はBTにとっては大きな問題ではないのかもしれない。トレーナーバトルとは違う何かがあるのだろうか。
そんな事を考えている内にくじ引きが行われた。紐の先が赤かったのはリーフとショウタ。青かったのはユウダイとホーン。組み合わせが決まった。
「赤の組は第一練習場、青の組は第二練習場で同時に試合開始とする。それでは各人スタンバイ!」
「俺はメブキの代わりに出る」
スタンバイしたリーフが対するショウタに向かって宣言する。いつも以上に厳しい表情は、決意の為か、それともショウタに対する的外れな怒りの為か。
「お前には──絶対に負けねぇ!」
ブレードを備えた両腕で、相手を斬りつけるようにして咆哮する。そして低姿勢で構え、戦闘態勢は万全だ。
「………」
ショウタは一言も喋らなかった。緊張の色は真剣な眼差しの表情には出ず、真一文字に結んだ口の縁が僅かに上がったことでしか確認出来ない。責めるなら責めろ、俺だって必死なんだ、そう言わんばかりだ。それに、返す言葉など無い。低姿勢でキッと睨み付けるようにして構えを取った。
「え、えぇと、お願いします、ユウダイさん」
此方は丁重に礼をするホーン。四つ足を地面にしっかりつけ、頭を軽く下げて視線を下げる。何もかも始めてでオドオドとしている様は何処か頼りなさそうだ。視線もユウダイに向けたり他に向けたりと忙しい。
「……あ、あぁ、宜しく、ホーンさん」
つられてユウダイもたどたどしく頭を下げた。調子が狂ったことだろう。それにユウダイとしては色々とやり辛い気持ちもあった。実力はあると既に認めたが、本当にバトルが出来るのか、ホーンは未知数過ぎる。どんな形のバトルをしてくるのか、何を得意としているのか、本来なら先に頭に叩き込むべき事が得られないままの戦いになるのだ。
(でも──)
そんな中でも一つだけハッキリしている事がある。先日の一次選考の時に見せた、あの“ころがる”である。恐らくはあれが切り札であり、誰にも負けない武器。素早いだけでなくそのまま攻撃にすらなるあれは、確かに強敵だ。
(だとすれば──)
ユウダイの頭の中で“ころがる”への対策が練られていく。これでもベンチメンバーに居座っているだけの実力はある、機転が利かない訳は無かった。
静かに閉じた目を、再び静かに開ける。目の前は先程よりクリアになった。
冴えた目を向けた時、ホーンはビクッと反応した。それは本気の目、戦いの目。ユウダイは全力で自分に向かってくるつもりだ。そう思った時、彼の中でもある覚悟が固まった。
(僕は──)
ゴクリと唾を飲み込む。喉が鳴る。
(自分に、勝ちたいんだ)
それが今、自分が此処に立つ理由。それを再確認すると、ホーンの目の色も変わった。
──いよいよ、二次選考が始まる。
ゴーン、と鐘がなる。四人はほぼ同時にスタートした。
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日本で数少ない地学系統に入る為に1年を平気で棒に振るようなお馬鹿さん。
将来の夢は古生物学者兼小説家。
平凡な人生を嫌う、My pace な駄犬。最近ドラゴン。