──人間なんてちっぽけな存在、人間同士が醜く争うなんて馬鹿馬鹿しいと思わないかな?──
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(※本館「Blast Burn!」の小説をご覧になっている方推奨です)
ショウタはBT一の策士だと言われることがある。
その小さなナリのお陰で攻撃のバリエーションは最も多く、そして攻撃と攻撃の繋げ方が上手い。本来ポケモンは“技”と呼ばれるものを幾つか備えている。しかしショウタは技以外、いわゆる体術と呼ばれる要素を多く取り入れたバトルの組み立てをする。沢山ある攻撃のバリエーションは“技”を最大限に生かす為の一連の動きであり、極力無駄の無いように出来上がっているのだ。
ドンすけは一度訊いたことがあった。とっくに進化出来る筈なのに何故進化しないのか、と。レベルと呼ばれる人間が作った数値で言えば、ショウタはもう、進化系であるアリゲイツ、オーダイルになっていてもおかしくないのだ。それを変わらずの石を使って抑えている理由は何なのか。答えはあっさりと返ってきた。
『俺が進化しちゃったら俺らしい戦いが出来なくなるじゃんか』
俺らしい戦い。その言葉を聞いた時、ドンすけは思わず苦笑した。単純だな、と茶化すも、それはそれで立派な考えだと思ったのだ。その日からショウタがワニノコであり続けるのに疑問は持たなかった。
そんな事を思い出しつつ、腕を組んだまま観客の一人としてバトルを見つめるドンすけ。最初の一撃からショウタの優位は変わっていない。リーフは攻撃をかわされ続けてイライラしてきた。冷静で居られる訳がない。
(このままじゃ負けるぜ、リーフ)
蓄積される心身の疲労は隠せない。何より一度も思い通りに戦えていないのだ。誰がどう見たって彼の劣勢は明らかだった。
ただ、ドンすけは一つ気がかりな事があった。ショウタは“みずでっぽう”、“れいとうビーム”、“かみつく”を使用しているのに対し、リーフは“リーフブレード”一辺倒である事だ。幾ら接近戦が得意な彼でも、流石にあの“かみなりパンチ”すら使わないのは妙だ。考えがあっての事か、それとも単に使わないだけなのか。いつもと違う彼の様子に少々疑問符を浮かべていた。
「お前もおかしいと思うか、ドンすけ」
唐突に傍に現れたウィン。ドンすけは驚く事もなく頷いた。
「幾らなんでも変っすよ、タイプ相性が悪い訳でもねぇのに、ブレードしか使わねぇなんて──」
ぶつかり合う二人を見ながら喉をグルゥと鳴らす。何となく腑に落ちない様子の目だ。
「──もし」
ウィンが口を開く。
「もし、だ。リーフが自分に戒めをかけているとしたら?」
「え?」
思わず我が主将の顔を見る。神々しいタテガミが風に揺れる。
「リーフにとってこの戦いはメブキを巡っての聖戦──それも相手はショウタだ。自分の他の技を封印してでも達成したい事があるのかもしれん」
達成したい事。何の事だか、とドンすけは半分呆れた顔でまたバトルを見やった。
──次の瞬間、ドンすけはその言葉の意味を理解する事になった。
その小さなナリのお陰で攻撃のバリエーションは最も多く、そして攻撃と攻撃の繋げ方が上手い。本来ポケモンは“技”と呼ばれるものを幾つか備えている。しかしショウタは技以外、いわゆる体術と呼ばれる要素を多く取り入れたバトルの組み立てをする。沢山ある攻撃のバリエーションは“技”を最大限に生かす為の一連の動きであり、極力無駄の無いように出来上がっているのだ。
ドンすけは一度訊いたことがあった。とっくに進化出来る筈なのに何故進化しないのか、と。レベルと呼ばれる人間が作った数値で言えば、ショウタはもう、進化系であるアリゲイツ、オーダイルになっていてもおかしくないのだ。それを変わらずの石を使って抑えている理由は何なのか。答えはあっさりと返ってきた。
『俺が進化しちゃったら俺らしい戦いが出来なくなるじゃんか』
俺らしい戦い。その言葉を聞いた時、ドンすけは思わず苦笑した。単純だな、と茶化すも、それはそれで立派な考えだと思ったのだ。その日からショウタがワニノコであり続けるのに疑問は持たなかった。
そんな事を思い出しつつ、腕を組んだまま観客の一人としてバトルを見つめるドンすけ。最初の一撃からショウタの優位は変わっていない。リーフは攻撃をかわされ続けてイライラしてきた。冷静で居られる訳がない。
(このままじゃ負けるぜ、リーフ)
蓄積される心身の疲労は隠せない。何より一度も思い通りに戦えていないのだ。誰がどう見たって彼の劣勢は明らかだった。
ただ、ドンすけは一つ気がかりな事があった。ショウタは“みずでっぽう”、“れいとうビーム”、“かみつく”を使用しているのに対し、リーフは“リーフブレード”一辺倒である事だ。幾ら接近戦が得意な彼でも、流石にあの“かみなりパンチ”すら使わないのは妙だ。考えがあっての事か、それとも単に使わないだけなのか。いつもと違う彼の様子に少々疑問符を浮かべていた。
「お前もおかしいと思うか、ドンすけ」
唐突に傍に現れたウィン。ドンすけは驚く事もなく頷いた。
「幾らなんでも変っすよ、タイプ相性が悪い訳でもねぇのに、ブレードしか使わねぇなんて──」
ぶつかり合う二人を見ながら喉をグルゥと鳴らす。何となく腑に落ちない様子の目だ。
「──もし」
ウィンが口を開く。
「もし、だ。リーフが自分に戒めをかけているとしたら?」
「え?」
思わず我が主将の顔を見る。神々しいタテガミが風に揺れる。
「リーフにとってこの戦いはメブキを巡っての聖戦──それも相手はショウタだ。自分の他の技を封印してでも達成したい事があるのかもしれん」
達成したい事。何の事だか、とドンすけは半分呆れた顔でまたバトルを見やった。
──次の瞬間、ドンすけはその言葉の意味を理解する事になった。
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HN:
餅 雅李音(ガーリィ)
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35
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男性
誕生日:
1989/06/07
職業:
大学院生
趣味:
ポケモン、恐竜、将棋、麻雀、 絵描き、小説書き (※創作全般に興味あり)
自己紹介:
ひたすら Going my way な道産子で関東圏の古生物専攻大学院生。
日本で数少ない地学系統に入る為に1年を平気で棒に振るようなお馬鹿さん。
将来の夢は古生物学者兼小説家。
平凡な人生を嫌う、My pace な駄犬。最近ドラゴン。
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